ちょっと、そこのお兄さんお姉さん。オモロい漫画あるんだけど寄ってかない?なあに、ちょいといくつか少女マンガのお話をするだけだよw
それでは・・・
目次
のだめカンタービレ 通称「のだカン」「のだめ」
実写ドラマの成功で一躍知られるようになった名作です。実はあまり知られていない事なのですが、ドラマ化と同時期にアニメ化も行われたという珍しい作品でもあります。これにより幅広い層に作品を認知させることに成功。電撃的なスピードで有名作品の仲間入りを果たしました。
内容はいわゆる学園物なのですが、音大生というやや大人な登場人物が主となっていますので青臭さが少なく、日常漫画的要素が強い作品となっています。何よりの特徴は個性的なキャラクターと独特の世界観によるストーリーです。冗長な表現が少なく、恋愛要素もくどくない。絵がさっぱりしている事も幸いし、テンポよく読めるでしょう。ライト層向けと言えますね。
作者 二ノ宮 知子 発行元 講談社 掲載誌 Kiss 連載年 2001~2010
のだめカンタービレ全25巻 完結セット (講談社コミックスキス)
プリキュア
意外性枠としてご紹介。アニメ原作でアニメの印象が強い事や、単行本が発行されていない事等で少女漫画と認識していなかった人が多いと思われますが、レーベルはれっきとした少女漫画です。
恋愛要素のないバトル漫画ですが少女漫画ならではの雰囲気は十分に詰め込まれており、それなりに楽しむことができます。キャラクターの見た目にも定評がある作品なので、それを目当てに読む人もいるようです。
作 上北ふたご 発 講談社 掲 なかよし 年 2014~
赤ちゃんと僕 通称「赤僕」
少女漫画で泣ける作品は何ぞやという質問があるとすれば、その答えとして間違いなくこの作品の名前が挙がるでしょう。
少女漫画ならではの可愛らしい絵柄で描かれる兄弟愛はすごぶる美しく感動的で、この漫画を読んで自分の将来—―家庭の事を思い描いたという女性は多いのではないでしょうか。兄弟のおられる方、特に男性ならば、自身の事を思い浮かべて読む事で非常に懐かしい印象を持ったという方もおられるかもしれません。そういった点で見れば、男性でも読みやすいと言えるでしょう。
当然ですが、良くも悪くも可愛いだけの漫画ではありません。ストーリーに関しては非常に重い内容のため考えさせられる事が多く、軽い気持ちで読むには不向きです。先ほど絵柄もかわいい物であると述べましたが、少女漫画ならではの線の細いやや崩したような物でもあります。少女漫画に馴染みの無い人は「慣れ」が求められるかもしれません。
作 羅川 真理茂 発 白泉社 掲 花とゆめ 年 1991~1997
カードキャプターさくら 通称「CCさくら」
アニメ界に伝説としてそびえる金字塔のような作品です。単行本に、作中に登場する「カード」が付録ととして付けられていた為、集めていた人も多いのではないでしょうか。
可愛らしい絵柄と、少女が憧れるマジカルなファンタジーストーリーが見事にマッチして人気を博しました。これはプリキュアなどにもみられる特徴で、王道少女漫画の一つの路線でもあります。アニメ版はこれに声がついて動きもするので、併せて見る事による楽しみもあるでしょう。2018年には新編がアニメ化されることも決定しているためおすすめの楽しみ方です。
この漫画に関連した作品として、同作者の『ツバサクロニクル』があります。この作品はスターシステム(複数の作品に同一の見た目のキャラクターを用いる技法。その様が多数の映画(作品)に出演する映画スターのようである為。)を採用しており、主要な登場人物の外見や名前が共通している点があります。が、少女漫画ではないので詳しくは触れません。ですがぜひともこちらも読んでいただ期待・・・です。ハイ。
作 CLAMP 発 講談社 掲 なかよし 年 1996~2000 2016~
風光る
歴史好きならばぜひ読んでほしい一作。日本人に大人気の新選組を題材にした作品です。
絵柄や描写等少女漫画らしい特徴を多く持っており、少女漫画として安心して読む事のできる作品です。しかし、この作品の最大の特徴は別にあります。というのも、作者はこの漫画を描く上で時代考証にかなり拘ったらしく、少女漫画とは思えぬ程にしっかりした時代考証が話題を呼びました。その点だけで見れば成人誌でもやれそうな雰囲気を持っています。
ただ巻数が多いのと、先述の時代考証~の下りを味わうためには読み手にもそれなりの知識が望まれるという点から、腰を据えてじっくり読んでほしい一作ではあります。
作 渡部 多恵子 発 小学館 掲 月刊フラワーズ(元別冊少女コミック)年 1997~
地獄少女
ちょっとギクリとするような名前ですが、当然こけおどしではありません。内容もまずまず重いです。
どうも少女漫画というのは「女性の闇」的な部分を描きたがるきらいがあるようで、時たま信じられないくらい陰惨であったり過激であったり、成人漫画顔負けのエグい作品もあったりします。この作品も当初そのような点が評判となり有名作品と言われるまでになりました。とはいえ、アニメ原作の作品なので関係ないかもしれませんが・・・。
基本的に一話読み切り。「人を呪わば穴二つ」といますが、この作品は呪いをテーマとした作品であり、先ほどの言葉を物語に組み込んだというどうしようもないほど暗い作品です。幸い残酷な描写はあまりありませんし、暗い作品が好きな人から見ればさほど酷くもないかもしれません。一話読み切りの上展開がある程度決まっているので、パッパッと読むのには最適の作品です。また、実写ドラマもあるようです。
作 永遠 幸 発 講談社 掲 なかよし 年 2005~2013(題名の変更後を含む)
11人いる!
ここで古い作品をご紹介。古典SF漫画の傑作の一つとして知られる作品で、インパクトのある題名が当時話題となりました。アニメ映画の印象が強いため、当時の人ですら漫画の存在を知らない事もあるという、有名なのかそうじゃないのかよくわからない少女漫画です。
SFと聞いて難しそうだと思われるかもしれません。確かにこの作品は他の少女漫画に比べれば複雑ではあります。しかしそこはやはり少女漫画、一つ一つ見ていけば、ちゃんと理解できる物ですし、少女漫画らしさも残しています。恋愛要素などが多い少女漫画に飽きてきたら、熱さましにこの作品を読んでみるのもいいかもしれません。当然ですが、バリバリの少女漫画らしさを求めているのであればあまりお勧めはできません。
先述したアニメ映画のほかに、演劇や実写ドラマ、小説、ドラマCDなどもあり、続編も含めれば長期間楽しめる作品です。
作 萩原 望都 発 小学館 掲 別冊少女コミック 年 1975
どうだいお兄さんお姉さん?気に入ったのはあったかね?なあにじっくり見てもらっていいよ。まだまだ続きもあるからねぇ。よかったらそっちもお話してあげるよw
でもちょっとその前に・・・・。
閑話休題的なコラム ~少女漫画の起源~
日本における少女漫画は婦女子向け雑誌のコーナーの一つとしてスタートしました。これが1935年頃の事です。当時の作家は『サザエさん』の作者である「長谷川町子」に影響を与えた「松本かづち」などが知られています。
1950年代には現在の少女漫画の原型となる要素が誕生します。「手塚治虫」の『リボンの騎士』は少女漫画にストーリー性を与え、多少読み応えのあるジャンルへと成長させます。長いマツゲや大きな瞳など化粧を意識した派手な顔の書き方も登場します。この頃までの少女漫画家はまだ男性作家が主な時代で、漫画の内容的には現在の少女漫画からややかけ離れていたと言えるでしょう。
少女漫画雑誌へ
1953年頃の朝鮮特需に伴い日本経済は格別の発展を遂げます。そのため社会全体に余裕が生まれ、その「余裕」に向かって、女性が社会進出を始めるようになったのもこの頃です。そして、それは少女漫画の世界にも起こります。
商業的発展を遂げた少女漫画は次第に雑誌内での比重を増やしていきました。つまり、新人漫画家がデビューできる「余裕」が生まれたのです。また、高まる「少女漫画」への需要を満たすために、多くの「少女漫画家」の需要が高まりました・・・・。
以後、少女雑誌を読んで少女漫画にあこがれを持っていた女性達が続々と少女漫画家デビューを飾りました。また、需要の増加は漫画家の低年齢化も引き起こします。デビュー当時10代だったという少女漫画家が多いのも、この頃の社会情勢が影響しているのです。これが、1960年代前半から70年頃の事です。
たいようのいえ
比較的新しい作品。あまり癖のない絵で描かれたホームコメディー。
家族とは何かというテーマで描かれた作品です。先ほど紹介した『赤ちゃんと僕』と似たようなテーマですが、少女漫画的様子はより強くなっています。特に恋愛描写は少女漫画らしく豊富で、いわゆる「胸キュン」要素が盛沢山です。絵柄以外は実に王道な少女漫画と言えるでしょう。巻数も少なめなので、少女漫画慣れしていない人には無難な作品と言えるでしょう。
作者 タアモ 発行元 講談社 掲載誌 デザート 連載年 2010~2015
ポーの一族シリーズ

写真はフラワーコミックの物
短編少女漫画の傑作。複数のシリーズで構成されている作品で、今年40年ぶりに新編が発表され話題を呼んでいます。
ヴァンパイアを題に取った作品で、ヨーロッパ的ファンタジーの世界を少女漫画的心理描写を用いて描き人気を呼びました。ヴァンパイアがテーマということもあり、全体的に物悲しい雰囲気を有しています。ただ、短編としての人気が高いだけあってストーリーはなかなかの物です。
作 萩尾 望都 発 小学館 掲 別冊少女コミック 年 1972~1976 2017
山田太郎ものがたり
題名から受けるイメージはまさしくストレートそのものといった作品。しかし、中身は少女漫画らしい描写が多く、そのギャップと斬新な設定とで話題を呼びました。
主人公の山田太郎を中心とするホームコメディー。少女漫画で言う所の「王子様」にスポットを当てた作品です。周囲からの印象と現実のギャップがなんともシュールで笑えます。性質上ドラマ映えするらしく、日本のみでなく台湾でもドラマ化されました。ちなみに、日本版における山田太郎役は嵐の二ノ宮君です。
作 森永 あい 発 角川書店 掲 Asuka 年 2000 2007~
動物のお医者さん
動物漫画という異色の作品。2000万部以上の売り上げを叩き出した実力派でもあります。
動物に関しては絵柄はリアル志向。動物の感情を、動きだけでなく吹き出しも使って表現する等、趣向を凝らした表現が特徴。モデルとなった大学の学部の志望者数増加や、シベリアンハスキーのブームを作り出す等社会に与えた影響も大きなものです。基本的に一話読み切りなのでサクサクと読める点も評価のポイントになるでしょう。ほかの少女漫画と同じく、この作品もドラマ化しています。
作 佐々木 倫子 発 白泉社 掲 花とゆめ 年 1987~1993
スケバン刑事
ドラマとして有名なスケバン刑事も、原作は少女漫画でした。スケバンと刑事という、一見混ざり合うことのなさそうな要素が混ざり合った事によるインパクトは、まさしくインパクトと言えるものでした。
派手なアクション表現も人気で、硬派漫画に近いストーリーと見事にマッチしています。次第にどんどんとぶっ飛んだ展開になっていく点も、これからどうなるんだという感情を描き立たせてくれます。ただ、やはりどうしてもドラマの陰に隠れてしまうので話題にならないところはしょうがないでしょう。
作 和田 慎二 発 白泉社 掲 花とゆめ 年 1976~1983
花より男子
少女漫画界の王者というべき作品。実写ドラマは原作ストーリーをエンディングまでやり切った数少ない作品。
ドラマ版の人気と癖の少ない絵柄とで男女問わず支持を得ている作品。特に海外からの人気は高く、台湾や韓国でもドラマ化されている。
――まあ、このように御託を並べずとも、5800万部という少女マンガ史上最大の売り上げがその人気を証明していますが。
設定だけ見れば女性版山田太郎ものがたりといった所でしょうが、ストーリーは超本格的な恋愛物です。まさしく王道を征く作品といえるでしょう。ミーハーな面はありますが、読んでおくべき作品ともいえるでしょう。
作 神尾 葉子 発 集英社 掲 マーガレット 年 1992~2002
リボンの騎士
マンガの神様「手塚治虫」の代表作の一つです。成人漫画や少年漫画のイメージがある手塚治虫ですが、可愛らしい絵柄も持ち味の一つでしたので、そう考えれば別段少女漫画を描いていても不思議はありません。
古典的漫画の一つですが、本格的なストーリーを少女漫画にもちこんだ初めての作品です。バトル漫画にして変身物という後の少女漫画の先駆けとなった作品でもあります。
難点として、手塚治虫は同一シリーズの作品でも頻繁に出版社を変えるため、単行本として全ての話を読むのは非常に困難なことが挙げられます。購読の際には手塚治虫個人の全集などを読むことをお勧めします。
作 手塚 治虫 発 講談社 掲 少女クラブ等 年 1953~1997(断続的)
花ざかりの君たちへ
堀北真希が主演を務め人気を博した実写ドラマの原作です。ドラマの愛称『イケパラ(イケメンパラダイス)』が流行る前は『花君』として愛されていました。
物語の設定上主な女性キャラクターが主人公ただ一人ということもあり非常に目立ちます。これは実写ドラマでより顕著です。代わりにこれでもかという程男性キャラクターが登場します。イケメンだらけのパラダイス『イケパラ』の愛称は伊達ではありません。
キャラクターが多い分個性は強烈。彼らによるコメディーは見応えがあります。と同時に、しっかりとした恋愛要素も持っており、王道的なストーリーも楽しめます。近年を代表する少女漫画の一つといえるでしょう。絵柄も柔らかいため読みやすいのも魅力です。
作 中条 比沙也 発 白泉社 掲 花とゆめ 年 1996~2004
夏目友人帳

写真は花とゆめコミックスの物
今まで紹介した作品の中で、おそらく最も少女漫画らしくないない作品。
原作アニメの人気上昇と共にじわりじわりと人気を得ていき、今や最も人気のある少女漫画の一つと言っても問題ないでしょう。ただ、やはり知名度はアニメの陰に隠れている面もあるようです。
アニメの影響で、わざわざ説明してもらうまでもないという方も多いと思われます。しかしあえて説明するならば、近年の少女漫画に多いさっぱりとしながらも崩しの少ない読みやすい絵柄、恋愛要素を可能な限り排した一話読み切り型のストーリー等を主な特徴としています。
ストーリーとして、この「友人」というのが物語の大きな主軸となるのですが、主人公と友人たちの織り成す物語は非常にアットホームかつさわやかで、ある意味バリアフリーな作品となっています。
作 緑川 ゆき 発 白泉社 掲 LaLa 年 2003~
会長はメイド様
女性キャラクターの人気が高い作品です。2010年にアニメ化された際は、女性キャラクターの出番がかなり追加されました。
女性キャラクターの人気が高く、アニメ版は男性も多く視聴していました。それもそのはず、萌え絵を意識したと思われる女性キャラクターは、同じく萌え要素の「メイド」と合わさって魅力となっています。
本格的な恋愛要素を持っており、少女漫画としても十分に楽しめます。ですが、少しベタなストーリーとも言えるでしょう。
作 藤原 ヒロ 発 白泉社 掲 LaLa 年 2006~2013
最後に~各誌の特徴~
Kiss 講談社
1992年創刊の新しい雑誌。「読むと恋をする」をキャッチフレーズとしており、大人の女性の恋愛をメインテーマとしています。少女漫画というよりはレディースコミックといった方がふさわしいかもしれません。働く女性世代を中心に親しまれています。
なかよし 講談社
1955年から続く古い雑誌。小学館の『ちゃお』集英社の『りぼん』と並ぶ三大少女漫画の一つ。小中学生を主な購買層としており、わかりやすいストーリーと可愛らしい絵柄で人気を博した作品を多く持っています。最大の特徴はファンタジー作品の多さで、『セーラームーン』や後述します『CCさくら』等、大ヒットを飛ばした作品は多くがこの路線の作品でした。最近は他の多くの少女漫画と同じく部数が低迷しています。近年のヒット作には『鬼灯の冷徹』等があります。
花とゆめ 白泉社
1974年創刊の中堅雑誌。命名は白泉社創立者自らの手によるもの。
創刊の数年間に、男性作家を多用することによって少女漫画に新風を入れたことで知られます。ジャンルの豊富さならばこの雑誌に勝る物はないでしょう。それは、やや少女漫画らしくない題名やテーマを扱っている作品が多いことからも解ります。
月刊フラワーズ 小学館
2002年創刊。恋愛漫画を主に扱っている漫画です。とはいってもその具合はまちまちで、普通のレベルの作品からちょっとぶっ飛んだ作品まで豊富にそろっています。少女漫画らしさを味わうにはもってこいかもしれません。
別冊少女コミック
1970年に、『少女コミック』の増刊として創刊された雑誌。現在は『ベツコミ』の名で知られている。購買層は20台前後とやや高め。クセが強いものが多いため、独特な雰囲気があります。
その他
少女フレンド 講談社
1926年に創刊された少女クラブの流れを酌んだ歴史ある雑誌。幅広い得意分野を持つ、大手出版社ならではの作品が多く有りました。有名な作品に『生徒諸君!』『ハイカラさんが通る』1996年に廃刊。
続く
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