ハリーポッターは、今や世界最高のファンタジー小説と目されている作品です。原作小説のシリーズ累計売上は4億部超。史上最も売れたシリーズ作品です。なるほど、確かに究極の作品と言えるでしょう・・・。
しかし!だからと言ってほかのファンタジー小説をまるで空気のように扱うのはもったいない!古いからとか単純に知らないとか、そんな考えはもっての外!
今回、色々な面から、ハリーポッターと同じくバカ売れしたり、影響力のあったファンタジー小説を一挙に紹介したいと思います・・・。さあ!たばかられたと思って読んで御覧じられい!
目次
指輪物語シリーズ
作 J・R・R・トールキン 年 1937(ホビットの冒険のもの)
神話や伝説を元にした、近代ファンタジーの元祖中の元祖。ハリーポッターでさえその影響を見て取ることができる。
概要
指輪物語シリーズは、『指輪物語三部作』を中心とする一連の作品群のことを指します。三部作は、原題『ロード・オブ・ザ・リング:The Lord of the Rings』の名でそれぞれ映画化され、3作全てが日本でも公開され大ヒット。そのため、若い人でもご存知の方は多いでしょう。また、世界三大ファンタジー小説の一つにも数えられています。
ハリーポッター級な点
世界中で大ヒットした書籍はベストセラー本と呼ばれます。この指輪物語三部作ともう一作品は、ベストセラー単独書籍部門で4作全てtop10入りしています。それも、全てハリーポッターより順位は上です。そう、一作品単体で見た時の売り上げは、ハリーポッターですら勝てないのです・・・!
特徴
このシリーズは、『ホビットの冒険』という児童小説から始まりました。それが人気を博して、次々とシリーズが発表され売り上げを出していった実力派なのです。
小説は、言語学者であった著者の豊富な伝説や神話の知識を土台として書かれています。今日のファンタジー小説でよく見られる『ゴブリン』(オーク)や『ドワーフ』。『エルフ』や『トロル』等は、指輪物語によって大まかなイメージが作られました。そのため、これ以降の作品で、これらを登場させた作品の多くは、必然的に指輪物語の影響を受けているということになるのです。ハリーポッターにもトロルやゴブリンが登場します。つまりそういうことなのです。
このシリーズはすべて同一の世界でのものでありますが、シリーズ間には一定の時間の流れがあり、どれから読むかで読みやすさや理解の容易さが変わってきます。
余りに影響力や評価されている点が多く書ききる事ができません。読めば読むほど原作者の力の入れようを感じさせてくれます。ファンタジー小説好きならば、読んでいなければならないと断言できるでしょう。
シリーズ作品一覧
指輪物語
- 旅の仲間
- 二つの塔
- 王の帰還(指輪物語三部作)
- ホビットの冒険
- 終わりざらりし物語
- シルマリルの物語
- ビルボ別れの歌
- 失われた道
ドラゴンライダーシリーズ
作 クリストファー・パオリーニ 年 2003
全米でハリーポッター以来の大ヒットを記録した人気長編ファンタジー。近代アメリカファンタジー小説の麒麟児。
概要
著者『クリストファー・パオリーニ』の処女作にして最大のヒット作。第一作『エラゴン』発表後、人気作家の目に留まったことがきっかけで急速に広まり、シリーズはベストセラー入り。ハリーポッター以来の大ヒットとなりました。そのため、ハリーポッターの後継者的作品と目されていました。が・・・。残念なことに実写映画は不評。あまりに壮大なスケールを扱いきれず駆け足な作品となってしまいました。実写映画の援護がもらえなかった事で、更なる大ヒットと行かなかったことが悔やまれます。
ハリーポッター級な点
何と言ってもハリーポッターの後継者的作品と目されている点でしょう。一時期はハリーポッターを越えるほどの売り上げ部数を記録しました。
特徴
この作品も、近代ファンタジーとして例にもれず指輪物語の影響を受けています。世界観の構造や描写などにそれはよく表れていますが、この作品はエルフが重要な存在として登場するため、指輪物語を読んだことのある人なら目について仕方ないでしょう。
指輪物語と大きく違うのは、ドラゴンに対する扱いです。ヨーロッパの神話伝説を土台としている指輪物語では、ドラゴンは脅威として描かれているのに対し、ドラゴンライダーシリーズでは登場人物と非常に密接な関係を気付いています。これはある種の、指輪物語の枠から抜け出た一つの形と言えるのかもしれません。
シリーズ作品一覧
- 『エラゴン 意思を継ぐ者』
- 『エルデスト 運命の赤き翼』
- 『ブリジンガー 炎に誓う絆』
- 『インヘリタンス 果てなき旅』
星の王子さま
作 サン・テグジュペリ 年 1943
飛行機乗りのバイブル。近代文学史にも多大な功績を残した作者の代表作。ロマンティックでさっぱりとした情景描写が魅力的。
概要
1943年に発表されてより世界中で愛されている文学作品です。著者『A・D・サン・テグジュペリ』は、第二次大戦中に地中海で消息を絶つまで、ヨーロッパの空を飛び回った飛行機乗りでした。2003年には、彼の乗っていた飛行機がついに地中海から引き上げられ、彼の機体を撃墜したというパイロットも現れました。ドイツ占領下の母国フランスでは出版直後発禁処分となりました。
ハリーポッター級な点
小説は1億5千万部以上を売り上げた大ベストセラーであり、単一の作品としての売り上げ部数はハリーポッターをも上回ります。また、200以上もの言語に翻訳され、ハリーポッター同様広い世界に読者がいます。
特徴
著者のサン・テグジュペリが飛行機乗りという事もあってか、彼の作品には飛行機乗りが多く登場し、よく主人公を務めていることがあります。そのため、彼の作品は世界中の飛行機乗りたちから高い支持を集めており、機内に彼の作品を必ず持ち込んでいるというパイロットは大勢いました。この星の王子さまも、飛行機で宇宙を旅する少年が主人公の作品です。ジブリの宮崎駿氏は飛行機好きとして知られていますが、彼も星の王子さまの愛読者として知られています。
ロマンティックなこの物語には、自身の手による挿絵が多くあり、情景描写の面で非常に人気を呼びました。この作品、一見すると児童文学の体を取っているのですが、実態はジョブナイル的な要素を持つ大人向けの小説です。というのも、無くしてしまった子供のころの純粋な何かを問いかけてくるような表現が多々あり、読者を意識して書いた事がわかるからです。何より、物語の前置きでは、「この本を、フランスに住んでいて困難に陥っているあるおとなの人に捧げる」と述べられています。
第二次大戦中ということもあり、母国フランスでは戦後になるまで発売されませんでした。しかし、フランスではフランス近代文学の代表作として、著者テグジュペリと共に愛されています。
不思議の国のアリス
作 ルイス・キャロル 年 1865
シェイクスピアに並ぶ知名度。一人の幼い少女との出会いが生んだ近世ファンタジー小説の傑作。
概要
児童文学として名を馳せている名作。物語の登場人物のモデルは著者のルイスキャロルと親交のあった幼い少女である。出版当初のハプニングにもめげず人気を博し、続編の『鏡の国のアリス』、不思議の国のアリスの原型となった『地下の国のアリス』なども出版された。パロディー要素をふんだんに込められて世界中で今なお読まれている。
ハリーポッター級な点
まず売り上げ部数に関してですが、累計一億部以上というハリーポッターにも迫る数字を挙げています。この数字は、単一作品の売り上げ部数でtop10に入る物です。また、多数の言語に翻訳され、引用や言及も数知れません。その事は、シェイクスピアにも次ぐとされている程です。
特徴
作者のルイス・キャロルが、幼いある少女に聞かせた創作話が作品誕生のきっかけでした。それは形を整えられて『地下の国のアリス』として完成しましたが、最初に世に出たのは、出版用にさらに加筆修正を加えたこの作品です。
読み聞かせの話が元になっていることもあり、民謡や詩、格言などに対するパロディーや言葉遊びがふんだんに込められています。その中のいくつかはそれ単体としても高い評価を得ています。これらの言葉遊びによってなかなか滅茶苦茶な世界観となっていますが、そのために情景を思い浮かべやすく、児童文学として高い評価を得ています。
作者は物語の挿絵を非常に重視しており、珍妙な世界を切り取ったヘンテコな絵が多数挿入されています。
最大の特徴として、この作品に関する模倣やパロディーの豊富さがあげられます。最大のものとしてディズニー社の作品があげられます。言葉遊びなどは似たような方法を用いる小説家に影響を与えています。
シリーズ作品一覧
- 『不思議な国のアリス』
- 『鏡の国のアリス』
- 『地下の国のアリス』
- 『アリスの黄金の時間』
最後に
ハリーポッターはファンタジー史上において押しも押されもせぬほどの存在となっています。それに対する一種のアンチテーゼ的な考えから、今回本記事を書くに至りましたが、やはりその存在は大きく、大変苦心しました。紹介する作品が少数になってしまった事は大変申し訳なく思っております・・・。もし機会がありましたら、ファンタジー作品について次はもっと気楽に作品を紹介してみたいと思っております。
それではまた・・・。
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